あの日星が輝く空の下
彼女は私に笑いかけた
彼女は温室の中の赤い花だ
彼女は古い街の瀟洒な通りだ
彼女は急な坂を吹き抜ける風だ
彼女は夏の空に立ち上がる雲だ
彼女はおろしたての素敵なペンだ
彼女は昨日見つけた古い本だ
彼女は泉のように湧き上がる音楽だ
彼女は展覧会の一枚の絵だ
彼女は他のだれでもないそのひとだ
彼女は世界をかたどる言葉だ
彼女は解けないひとつの謎だ
彼女はこの世のよいもののすべてだ
あの日星が輝く空の下
彼女は私に笑いかけたのだ